烏啼
うてい
名詞
標準
文例 · 用例
ひとが笑へばにやにやと、猫のなきまね、烏啼き、たまにやべそかき赤い舌、嘘か、色眼か、涙顔。
— 北原白秋 『東京景物詩及其他』 青空文庫
さても笑止や、垣根のそとで障子張るひと、椿の花が上に真赤に輝けば張られた障子もくわつと照る、烏勘左衛門、烏啼かせてくわつと吹くよかよか飴屋のちやるめらもみんなよしよし、粉嚢やつこらさと担いで、禿げた粉屋も飛んでゆく。
— 北原白秋 『東京景物詩及其他』 青空文庫
が、その末にこの頃は談林発句とやらが流行するから自分も一つ作って見たといって、「月落烏啼霜満天寒さ哉――息を切らずに御読下し被下度候」と書いてあった。
— 内田魯庵 『斎藤緑雨』 青空文庫
この時代を離れては緑雨のこの句の興味はないが、月落ち烏啼いての調子は巧みに当時の新らしい俳風を罵倒したもので、殊に「息を切らずに御読下し被下度候」は談林の病処を衝いた痛快極まる冷罵であった。
— 内田魯庵 『斎藤緑雨』 青空文庫
烏啼霜月夜寥寥囘首離城尚未遙正是思家起頭夜遠鐘孤棹宿楓橋 彼もまた鳴らぬ夜半の鐘を聴いたものと思はれる。
— その六 ――放翁絶句十三首和訳(つけたり、雑詩七首)―― 『放翁鑑賞』 青空文庫
○平野秀吉氏の唐詩選全釈には、「後、張継、再び此に来り、重泊楓橋と題して、白髪重来一夢中、青山不改旧時容、烏啼月落江村寺、欹枕猶聴夜半鐘と詠じたが、詩品も劣り、且つ全唐詩にも載せざるを見れば、或は後人の偽作か」としてある(簡野道明氏著『唐詩選詳説』にも之と同じことが書いてある)。
— その七 ――放翁詩話三十章―― 『放翁鑑賞』 青空文庫
近ごろ孫仲益の楓橋寺を過ぎる詩を読むに、云ふ、白首重来一夢中、青山不改旧時容、烏啼月落橋辺寺、欹枕猶聞夜半鐘と。
— その七 ――放翁詩話三十章―― 『放翁鑑賞』 青空文庫
烏啼ものの「いもり館」である。
— 海野十三 『海野十三敗戦日記』 青空文庫