香盆
こうぼん
名詞
標準
incense tray
文例 · 用例
窓の外から聞えて来る兄の声を、聞くまいとして先刻から書を繙いたり、香盆を拭いて香炉に火を点じてみたりしていたが、十兵衛の声が耳に聞えている時よりも、聞えていない間の方が、堪らない不安と焦躁に駆られてしまう。
— 吉川英治 『柳生月影抄』 青空文庫
掛け軸の前の香盆に染め付けの火入れが置いてあるので、始めてそれと気がついたのだが、さっきから微かに香っているのは大方あれに「梅が香」が薫じてあるのであろう。
— 谷崎潤一郎 『蓼喰う虫』 青空文庫
たそがれ頃から……」 登子は棚の香盆を下ろして、香炉に伽羅をたいていた。
— 婆娑羅帖 『私本太平記』 青空文庫
「これだけな、赤地の出た上へ、何かこうぼんやり踞ったものがある。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫
お立ちになってからでもお聞き分けよくママのマの字もおっしゃらなかったんですけれども、どうかするとこうぼんやり考えてでもいらっしゃるようなのがおかわいそうで、一時はおからだでも悪くなりはしないかと思うほどでした。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
僕はこうぼんやり屈托しているところを千代子に見られるのを屈辱のように感じた。
— 夏目漱石 『彼岸過迄』 青空文庫
裏長屋の狭い庭越しに、梅から桜へ移り行く春の風物を眺めて、ただこうぼんやりと日を暮している、この頃の平次だったのです。
— 梅吉殺し 『銭形平次捕物控』 青空文庫
作例 · 標準
繊細な蒔絵が施された香盆の上に、香炉と数種類の香材が美しく並べられている。
幻辭AI · gemini-3-flash-preview
茶席の準備として、主人は香盆を丁寧に拭き清めて客を迎える準備をした。
幻辭AI · gemini-3-flash-preview
祖母の遺品の中から、江戸時代に使われていたと思われる古い香盆が出てきた。
幻辭AI · gemini-3-flash-preview