盗児
とうじ
名詞
標準
文例 · 用例
「俺に用があるのか」「あるとも、俺を盗児と云ったのは、何人だ」「ぬすっと、何人が汝さんを盗児と云ったのだ」 広巳はずいと進んで往った。
— 田中貢太郎 『春心』 青空文庫
「云わねえ、云うものかい、盗児と云うものかい」「云わねえことがあるか、終夜稼いだと云やがったくせに、云やしないもすさまじいや」「終夜稼いだと云ったっていいだろう、急ぎの仕事がありゃあ、終夜稼があな」伴の方を見て、「なあ、与ちゃん」 紺の腹掛は頷いた。
— 田中貢太郎 『春心』 青空文庫
人間を高うするものも、人間を卑うするものも、義人を起すものも、盗児を生ずるものも、その原素に於ては、この熱意の外あることなし。
— 北村透谷 『熱意』 青空文庫
大庭武年氏の「小盗児市場の殺人」は面白かった。
— 「新青年」一九三三年七月 『マイクロフォン』 青空文庫
アメリカ丸の甲板にて(向つて左より花田君・寛・晶子)大連市外の星ヶ浦 × 支那へ行くと各地に「小盗児市場」と云ふ露店の街区のある事を聞いて居たが、今日(五月九日)の午後、眞山君は予等を大連の其れへ同行してくれた。
— 附 満蒙の歌 『満蒙遊記』 青空文庫
市の西の小崗子と云ふ丘陵地にある支那街の一部に、白く立つ砂ぼこりと悪臭とを我慢しながら、自動車を表通に待たせて置いて、縦横に通じた小盗児市場の小路を歩き廻つた。
— 附 満蒙の歌 『満蒙遊記』 青空文庫
これを「小盗児市場」と呼ぶのは日支両国語の混合であるから、恐らく日本人の附した賎称で、市人の店前で斯く呼んだら彼等の怒を買ふであらう。
— 附 満蒙の歌 『満蒙遊記』 青空文庫
いやでも応でも、宇宙は刻々に易るという法則に立つ易学を生んだ隣邦中国では、さすがに世の転変には馴れぬいていたものか、古来|盗児に関する挿話は今の日本にも負けないほど多い。
— 吉川英治 『人間山水図巻』 青空文庫