弁力
べんりょく
名詞
標準
文例 · 用例
人の心というものは同一の事を間断なく思ッていると、遂に考え草臥て思弁力の弱るもので。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
木村は急に弁力を回復して、「一日千秋の思いとはこの事です」 とすらすらとなめらかにいってのけた。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
今更に正木博士の弁力に身ぶるいさせられつつ、今一度、頭の痛い処に手を遣った。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
彼もしくは彼女の機智頓才、魅力弁力、その衒学的の博引広証、いずれも一時的に人を煙に捲くに足る。
— 夢野久作 『東京人の堕落時代』 青空文庫
かくの如くにして社会の最も健全なる部分が、漸に平氏政府の外に集りたる、幾多の智勇弁力の徒が既に、平氏政府の敵となれる、而して平氏政府に於ける、位爵と実力とが将に反比例せむとするの滑稽を生じたる、亦宜ならずとせむや。
— 芥川龍之介 『木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)』 青空文庫
所謂天民の秀傑なる、智勇弁力ある彼等が、大勢の将に変ぜむとするを見て、抑ふべからざる野心を生じ来れる、固より宜なり。
— 芥川龍之介 『木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)』 青空文庫
ある微妙な動機がすっかり君の思弁力を奪ってしまった。
— 久生十蘭 『魔都』 青空文庫
この三者は積極的において、封建社会に新奇なる元気、活動、刺激を与え、消極的において、封建社会の敵たる世襲以外の智勇弁力を、封建社会に吸集して、その反抗の精神を減殺したるものなれば、封建社会の主権者は、この三者に向って、深く謝する所なかるべからず。
— 徳富蘇峰 『吉田松陰』 青空文庫