病熱
びょうねつ
名詞
標準
文例 · 用例
佛よわたしは愛する おんみの見たる幻想の蓮の花瓣を青ざめたるいのちに咲ける病熱の花の香氣を佛よあまりに花やかにして孤獨なる。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
その當時、悦びで有頂天になつた自分の姿が、あさましくも馬鹿らしくも思はれた、『あれはやつぱり一種の病熱からみた幻影にすぎなかつたのぢやないか』『あれは何でもない錯覺の類ぢやないのか』『自分は喜劇を演じたのぢやなかつたか』かういふ疑問が私を皮肉的に嘲笑し始めた。
— 萩原朔太郎 『散文詩・詩的散文』 青空文庫
言ふ迄もなく、彼女の病熱的なキリスト教の信仰と、彼女の感傷(それは人間の最も神聖な道徳的感情です)とが、不幸な私を救つて神の前に導いたのです。
— 萩原朔太郎 『散文詩・詩的散文』 青空文庫
野獣のやうな病熱さをもつた少年の日の情慾。
— 愛の詩集の終りに 『愛の詩集』 青空文庫
白い着物を着ていて、顔色は病熱ではなやかになっている。
— 葵 『源氏物語』 青空文庫
お前たちの為めに最後まで戦おうとする熱意が病熱よりも高く私の胸の中で燃えているのみだった。
— 有島武郎 『小さき者へ』 青空文庫
が、それは男を先づそとに見えない心臟や肺のあたりからがつ/\とかじつて、つひにはその全身をかの女の病熱と衰弱との喰ひ物にしてしまふのではなからうか?
— 毒藥を飮む女 『泡鳴五部作』 青空文庫
バルザックの精神を、全体を全体なりに掴もうとする熱烈、病熱的情熱。
— 一九四三年(昭和十八年) 『獄中への手紙』 青空文庫