ビロード
びろーど
名詞
標準
文例 · 用例
真ツ赤な顔をした大きい小僧で、ジャケッツを着てビロードのズボンをはいてゐる。
— 中原中也 『散歩生活』 青空文庫
私はまたスイッチをひねって、電燈を消し、お父上の外国土産の生地で作ったビロードのコートを脱ぎ、帯だけほどいて着物のままでお床へはいった。
— 太宰治 『斜陽』 青空文庫
しかし、お宅かてお忙しいでっしゃろさかい、それに、帳面づけや何やかやは、隣組の人がしてくれはる言うことでっさかい」 玄関に立つと、蝶子は、「そんなら、ここで失礼して着せてもらいます」 と、黒いビロードのコートを羽織った。
— 織田作之助 『わが町』 青空文庫
ある冬の日の本郷通りで会った四方太氏は例によってきちんとした背広に外套姿であったが、首には玉子色をしたビロードらしい襟巻をしていた。
— 寺田寅彦 『俳諧瑣談』 青空文庫
宝石で作ったような真紅のつぼみとビロードのようにつやのある緑の葉とを、臥ながら灰色の壁に投射して見ると全く目のさめるように美しかった。
— 寺田寅彦 『病室の花』 青空文庫
すり切れたシルクハットと、しわだらけのビロードの襟が付いたくすんだ褐色のオーバーが、そばにある椅子の上に置かれてあった。
— THE RED-HEADED LEAGUE 『赤毛連盟』 青空文庫
そして自分の部屋に入ると、古びた青いビロードの椅子に腰をおろして、その膝をもんだり、痛さをこらへて少しでも折り曲げやうとしたり、または罨法してそつとのばしたり等した。
— 素木しづ 『追憶』 青空文庫
林檎の木は今いっぱいの花ざかり、香わしい接骨木はビロードの様な芝生の周りを流れる小川の上にその長い緑の枝を垂れています。
— DEN GRIMME AELING 『醜い家鴨の子』 青空文庫