悉
しつ
名詞
標準
文例 · 用例
人々に依り、家々に依り、年齢に依り、階級に依り、土地により、悉く家庭の趣味は変って居る。
— 伊藤左千夫 『家庭小言』 青空文庫
そぼぬれてせまき歩道のしきいしを一つ一つに踏みて行きけり 以下一連の歌は悉く金玉である。
— 伊藤左千夫 『歌の潤い』 青空文庫
当区内の鵞口瘡は此六日を以て悉皆主治したとの話をした十二日 午前警視庁の巡回獣医来る 健康診断のためである。
— 伊藤左千夫 『牛舎の日記』 青空文庫
しなやかに光沢のある鬢の毛につつまれた耳たぼ、豊かな頬の白く鮮かな、顎のくくしめの愛らしさ、頸のあたり如何にも清げなる、藤色の半襟や花染の襷や、それらが悉く優美に眼にとまった。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
「別体」bettai「出世」shut-she→shusshe「悉皆」shit-kai→shikkaiハ行音の前では促音となり同時にハ行音はパ行音となる。
— 橋本進吉 『国語音韻の変遷』 青空文庫
例えば今日我々が「ア」と読んでいる中にでも「阿」「婀」「鞅」「安」のような色々の文字があって、これらの文字を悉く我々は「ア」と読んでいる。
— 橋本進吉 『古代国語の音韻に就いて』 青空文庫
かように、契沖阿闍梨の研究によって、「いろは」は四十七文字がすべて悉く違った音を代表していたということが解って来ました。
— 橋本進吉 『古代国語の音韻に就いて』 青空文庫
まず英、独の両語でこれに類似するものは、ほとんど悉くフランス語の借用に基づいている。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫