造り
つくり
名詞
標準
文例 · 用例
「直な柱も杉皮附、つくろはねどもおのづから、土地に合ひたる洒落造り」とは『春色辰巳園』巻頭の叙述である。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
嫌いというわけではないが、荷造りや旅費の計算が面倒であり、それに宿屋に泊ることが厭だからだ。
— 萩原朔太郎 『秋と漫歩』 青空文庫
すつかりと荷造りされたる思想の前に、言葉が逡巡して進まないといふやうな、我等の鬱陶しき日和の多いことよ。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
実に十八世紀以来に於て、急激な進歩をした欧洲資本主義の文明は、一躍して平民の社会を造り、過去のあらゆる貴族的なものを葬ってしまったのである。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
蝶の舌ゼンマイに似る暑さかな暖かや蕊に臘ぬる造り花臘梅や雪うち透かす枝のたけ「蝶の舌」の句は、ゼンマイに似ているといふ目付け所が山であり、比喩の奇警にして観察の細かいところに作者の味噌があるのだらうが、結果はそれだけの機智であつて、本質的に何の俳味も詩情もない、単なる才気だけの作品である。
— 俳人としての芥川龍之介と室生犀星 『小説家の俳句』 青空文庫
そして彼が石を集め、苔を植ゑて庭を造り楽しむ時、しばしばその自己流の道楽芸が専門の庭園師を嘆息させるほど、真にユニイクな芸術創作となるのである。
— 俳人としての芥川龍之介と室生犀星 『小説家の俳句』 青空文庫
戀や結婚と同じやうに、出發の前に荷造りされてる、人生の妄想に充ちた鞄である。
— 萩原朔太郎 『大船驛で』 青空文庫
頑丈な木造りの二三の椅子と卓子とが蹲る侏儒のやうにあるべからぬ所に散らばつてゐた。
— 有島武郎 『小さき影』 青空文庫