男客
おとこきゃく
名詞
標準
文例 · 用例
「婦人だ」 何しろ、この明りでは、男客にしろ、一所に入ると、暗くて肩も手も跨ぎかねまい。
— 泉鏡花 『眉かくしの霊』 青空文庫
部屋一ぱいの男客、女客の姿態は珈琲の匂いと軽い酒の匂いに捩れ合って、多少醗酵しかけている。
— ――朝と昼―― 『巴里のキャフェ』 青空文庫
男客の三人四人は、急に傍なる婦人を誘ひて舞ひはじめたり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
よそには男客のみなるに、独ここには少女あり。
— 森鴎外 『うたかたの記』 青空文庫
女客は格別、男客は不断着のままで入浴に出かけるのが普通で、湯屋へ好い着物をきて行くと盗難の虞れがあるとも云い、十人が十人、木綿物を着て行くのを例としていたが、その風俗が次第に変って、銘仙はおろか、大島紬、一楽織の着物や羽織をぞろりと着込んで、手拭をぶら下げてゆく人も珍しくないようになった。
— 岡本綺堂 『明治時代の湯屋』 青空文庫
殊に男客に比べると、女客は入浴時間も非常に長いから、湯屋に取っては余り有難いお客様ではなかった。
— 岡本綺堂 『明治時代の湯屋』 青空文庫
これは婉転反側して男客を俟つの状に象り、またカワセミと称えたは路傍に待ちいて客人を捉うるの手速きに拠ったのだ。
— 鶏に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
多分、多くの男客を牽きつけてゐさうであつたが、彼女の巧妙な愛想とよく動く眼の裏にはどこかに油斷のならぬものが潛んでゐさうで賤しかつた。
— 横光利一 『悲しみの代價』 青空文庫