山民
さんみん
名詞
標準
文例 · 用例
――ところで、とぼけきった興は尽きず、神巫の鈴から思いついて、古びた玩弄品屋の店で、ありあわせたこの雀を買ったのがはじまりで、笛吹はかつて、麻布辺の大資産家で、郷土民俗の趣味と、研究と、地鎮祭をかねて、飛騨、三河、信濃の国々の谷谷谷深く相|交叉する、山また山の僻村から招いた、山民一行の祭に参じた。
— 泉鏡花 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫
息子夫妻が父の祖神の翁に顔を合すとき、大体話は山の生産の模様、山民の生活の状況、それ等を統ねて行く岳神としての支配の有様、そのようなものであった。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
山民間に起った面白そうな出来事を噂話のように喋っても呉れた。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
水無川を越えて山腹にかけ山民の部落があった。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
三 殿中で高家月番、畠山民部大輔へ、「今度の勅使饗応の費用の見積りですが、ちょっとお目通しを」といって、内匠頭が奉書に明細な項目を書いたのを差し出した、畠山は、それをしばらく眺めていたが、「わしには、こういうことは分からんから、吉良に――ちょうど、来ているようだから」と、いって鈴の紐を引いた。
— 菊池寛 『吉良上野の立場』 青空文庫
よほど昔ギリシア中でテッサリアの山民のみ騎馬を善くした時、他の諸民これを半人半馬の異物と思うた。
— 馬に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
「われ山民の心を失わず。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫
海岸・野山の散居に、深寝入りを忌んだ昔の生活が、今も島人・山民などの間に残つて居る。
— 常世の国 『古代生活の研究』 青空文庫