畦道
あぜみち
名詞
標準
文例 · 用例
すべての農民等は、邸の中に氏神と地祖神を祭つて居り、田舍の寂しい街道には、行く所に地藏尊と馬頭觀音が安置され、暗い寂しい竹藪の陰や、田の畔の畦道毎には、何人もかつてその名を知らないやうな、得體のわからぬ奇妙な神神が、その存在さへも氣付かれないほど、小さな貧しい祠で祀られてゐる。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
外には木枯しが吹き渡り、家の周囲には、荒寥とした畦道が続いている。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
大山が食事するために、丁場から飯場の方へ降りて行くと、田と飯場との間の狭い畦道で、小林が大きな声を出していた。
— ――生きる為に―― 『山谿に生くる人々』 青空文庫
こう見えたって、太平洋と日本海を繋ごうってえ、国家的な事業をやってんだ」「そんな乱暴な事を言うんなら、この畦道を通ってもらうまい」「何、畦道を通るな!
— ――生きる為に―― 『山谿に生くる人々』 青空文庫
で、畦道を通るなって言われたって、宙を飛んで来る訳にもいきませんし、土地ってっても、一坪とか二坪とかいうんなら地代も出せますが、三寸角や五寸角じゃ、どうにも勘定ができませんですが、こうして戴けないでしょうか。
— ――生きる為に―― 『山谿に生くる人々』 青空文庫
草がくれの径遠く、小川流るる谷間の畦道を、菅笠冠りたる婦人の、跣足にて鋤をば肩にし、小さき女の児の手をひきて彼方にゆく背姿ありしが、それも杉の樹立に入りたり。
— 泉鏡花 『竜潭譚』 青空文庫
酒代は惜まぬ客人なり、然も美人を載せたれば、屈竟の壯佼勇をなし、曳々聲を懸け合はせ、畷、畦道、村の徑、揉みに揉んで、三|里の路に八九|時間、正午といふのに、峠の麓、春日野村に着いたので、先づ一|軒の茶店に休んで、一行は吻と呼吸。
— 泉鏡花 『雪の翼』 青空文庫
※|廓へ近き畦道も、右か左か白妙に、この間に早瀬|主税、お蔦とともに仮色使と行逢いつつ、登場。
— 泉鏡花 『湯島の境内』 青空文庫