建て付け
たてつけ
名詞
標準
文例 · 用例
それは見かけ倒しの立派な、芝居の建て付けに、全身の信頼をもってもたれかかって、一緒に倒れるのと同じ人々の運命であらねばならぬ。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
千駄ヶ谷の建具屋の又助が重兵衛の註文をうけて、淀橋の家作に雨戸を入れたところ、その建て付けが悪いというので、五月のはじめに直しに行ったが、なんだか畳や縁側に血の痕のようなものが薄く残っていたという。
— 正雪の絵馬 『半七捕物帳』 青空文庫
……」「この寒いのになんだってあなたも言いつけないんです」 今度はこう葉子にいいながら、建て付けの悪い障子をあけていきなり中にはいろうとしたが、その瞬間にはっと驚いたような顔をして立ちすくんでしまった。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
建て付けの悪い肱掛け窓の戸を洩れて、冷たい夜風が枕もとの破れた行燈の灯をちろちろと揺らめかせている。
— 人形使い 『半七捕物帳』 青空文庫
半七に眼配せをされて、庄太はその唐紙を明けようとすると、建て付けが悪いので軋んでいる。
— 河豚太鼓 『半七捕物帳』 青空文庫
建て付けのわるい雨戸の隙間から、もう明るい光りがさしていた。
— 豊島与志雄 『ヘヤーピン一本』 青空文庫
それでも入れようと思って種々にして見たが、建て付けが悪くなって何れ一つ満足なのが無い。
— 近松秋江 『別れたる妻に送る手紙』 青空文庫
どの階にもたくさん住居があって、建て付けの悪い扉の隙間から、子供らの押し合ったり泣き叫んだりするのが聞こえていた。
— JEAN-CHRISTOPHE 『ジャン・クリストフ』 青空文庫