弟思い
おとうとおもい
名詞
標準
文例 · 用例
そんなわけで、碌々に手習の師匠に通ったのでも無し、誰に教えられたのでも無く、云わば野育ち同様に育って来たのですが、不思議にこの姉弟は親思い、姉思い、弟思いで、おたがいに奉公のひまを見てはおふくろを尋ねて行く。
— 岡本綺堂 『三浦老人昔話』 青空文庫
この庄之助という人は姉弟思いで、子供のときに別れた姉さんに一度逢いたいと祈っていると、今年十九の春になって、神明の矢場に矢がすりお金という女があることを、不図聞き出しました。
— 岡本綺堂 『三浦老人昔話』 青空文庫
弟思いの兄の鼎が心配して、ほかから後妻を迎えようとしたが、本人が旅ばかりして家にいないので、話が纏まらない。
— 田中貢太郎 『蘇生』 青空文庫
伯母様も貴方の弟思いの御心持にスッカリ同情されましたが、一足違いで貴方を取逃がされたのを非常に残念がり、八方に部下を飛ばして貴方の行衛を探しておられると、両国橋の方向へ行かれる貴方を発見した者が、電話で知らせた。
— 夢野久作 『冥土行進曲』 青空文庫
兄弟のことではござりまするし、それに、平常から、普通の兄弟に倍して、兄思い、弟思いの喬之助さまと琴二郎さまでござりまするによって、兄喬之助様の隠れ場所を、弟御が知らぬということはないと考えられまする。
— 新版大岡政談 『魔像』 青空文庫
僕はただ本多少佐の顔だけ見覚えているくらいなんですが、……」「さあ、兄弟思いの人だったですね。
— 芥川龍之介 『文章』 青空文庫
一体これはどうしたことでしょう、親分さん」 弟思いらしいお北の顔には、言いようもない悲しみと不安がありました。
— 迷子札 『銭形平次捕物控』 青空文庫
照正様はわかっているね」「それに照彦様がお母様にいいつけるとおっしゃって大騒ぎでした」「頼もしいね」 と祐助君は弟思いだから目の色を変えていた。
— 佐々木邦 『苦心の学友』 青空文庫