餓死に
がしに
名詞
標準
文例 · 用例
仙台が焼けてさえいなかったら、仙台には二、三の知人もいるし、途中下車して、何とか頼んで見る事も出来るでしょうが、ご存じの如く、仙台市は既に大半焼けてしまっているようでしたから、それもかなわず、ええ、もう、この下の子は、餓死にきまった。
— 太宰治 『たずねびと』 青空文庫
その略にいわく、昔釈迦如来|天竺の大国の王と生まれて坐しし時、隣国舅氏国飢渇してほとんど餓死に及べり。
— 猴に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
現地の軍当局の信じられないほどの無責任、病兵を餓死にゆだねて追放するおそろしい人命放棄についても記録されはじめた。
— 宮本百合子 『ことの真実』 青空文庫
インドの古聖法は、餓死に瀕した場合には、たとい他人を殺してその肉を食うとも、それは自保のためである故、決して罪とはならぬとしてある。
— 穂積陳重 『法窓夜話』 青空文庫
殆ど餓死に近い状態で焼跡をよろめき歩いたとき、あのときも、天の高みから、さつと洩れて来る不思議に清らかな光があつた。
— 原民喜 『火の子供』 青空文庫
少年の担いでいる袋の中には、食物が充ち充ちているのであって、道々老人と少年とは、袋から食物を取り出しては餓死にしそうな女や男へ、平等に分けてやるのである。
— 国枝史郎 『蔦葛木曽棧』 青空文庫
シカゴ、ワシントンストリートの、ライリリック座の座主の令嬢こそ、この哀れな、餓死に瀕した一行の救い主であった。
— 長谷川時雨 『マダム貞奴』 青空文庫
しかし彼が家計の變化のために正に餓死に瀕せんとするに至るや、彼は不正直な事を敢てするかも知れない。
— 久保良英 『教育心理に關する現下の問題二三』 青空文庫