御産
おさん
名詞
標準
文例 · 用例
「どうせ御産で死んでしまうんだから構やしない」 彼女は健三に聞えよがしに呟やいた。
— 夏目漱石 『道草』 青空文庫
もう直生れるんだろう」「ええ落こちそうな腹をして苦しがっています」「御産は苦しいもんだからね。
— 夏目漱石 『道草』 青空文庫
「今年は私も三十三の厄年です……ひょっとすると今度の御産では、正太さんの後を追うかも知れない……」 心細そうに言って、お雪は二階の戸棚にある写真箱の中から、正太の兜町時代に撮った半身で横向のを探し出して来た。
— 島崎藤村 『家(下巻)』 青空文庫
そこで外の時ならよいが、御産のすまないうちにそんな闖入者があつては困るので白菊を植ゑて柵にしたのです。
— 平野萬里 『晶子鑑賞』 青空文庫
召使いの女官たちは大さわぎをして、赤さんの皇子を抱いて御産屋へお連れしますと、御殿の中は急に金色の光でかっと明るくなりました。
— 楠山正雄 『夢殿』 青空文庫
丹比氏の伝えや、それから出たらしい日本紀の反正天皇御産の記事は、一つの有力な種子である。
— 折口信夫 『水の女』 青空文庫
日本の古い時代の御産の形式をみると、水と火との二つの方式がある。
— 折口信夫 『貴種誕生と産湯の信仰と』 青空文庫
神代紀のこのはなさくやひめの命、垂仁紀の狭穂姫皇后の産事は、それ/″\火の形式によるものであり、いま一つの水の形式になると、後世の御産の典型的になつてゐる。
— 折口信夫 『貴種誕生と産湯の信仰と』 青空文庫