小豆粒
あずきつぶ
名詞
標準
文例 · 用例
蒸されるような暑苦しい谷間の坂道の空気の中へ、ちょうど味噌汁の中に入れた蓴菜のように、寒天の中に入れた小豆粒のように、冷たい空気の大小の粒が交じって、それが適当な速度でわれわれの皮膚を撫でて通るときにわれわれは正真正銘の涼しさを感じるらしい。
— 寺田寅彦 『さまよえるユダヤ人の手記より』 青空文庫
小豆粒くらいの大きさの花火が、両耳の奥底でぱちぱち爆ぜているような気がして、思わず左右の耳を両手で覆った。
— 太宰治 『玩具』 青空文庫
最後に桶を傾けた時、彼の期待に輝いた眼は、柄杓の中に流れ込まうとしてゐる殘り少くなつた水に、危ふく一緒に流されさうになり、流されまいとしてたゆたうてゐる一つの黒い小豆粒大のものを見た。
— 島木健作 『續生活の探求』 青空文庫
尾尖に大きな小豆粒ほどの、全く舎利玉通りなる物、自ずから出来いた由見ゆ。
— 蛇に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
九 三斎隠居は、蚕豆ほどの大きさから、小さいので小豆粒位の透きとおり輝く紅玉の珠玉を、一つ一つ、灯にかざしては、うこんの布で拭きみがき、それを青天鵞絨張りの、台座に篏めながら、つぶやきつづけるのだ。
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
丁度小豆粒ほどの大きさで幾重かの萼見たやうな薄皮で包まれてゐる。
— 自然の息自然の聲 『樹木とその葉』 青空文庫
小豆粒ほどの影は、次第に大豆ほどとなり、やがては小人の船ほどの大きさになって、耳を澄ますと、微風につれて賑わしい船歌さえ聞えて来る。
— 宮本百合子 『津軽の虫の巣』 青空文庫
この木に限つて小豆粒大の油蟲が木|肌一面にたかる。
— 横瀬夜雨 『五葉の松』 青空文庫