黒ペン
くろぺん
名詞
標準
文例 · 用例
丁度私が其の不調和なヤコフ・イリイッチの面構えから眼を外らして、手近な海を見下しながら、草の緑の水が徐ろに高くなり低くなり、黒ペンキの半分剥げた吃水を嘗めて、ちゃぶりちゃぶりとやるのが、何かエジプト人でも奏で相な、階律の単調な音楽を聞く様だと思って居ると、睡いのか。
— 有島武郎 『かんかん虫』 青空文庫
そやつの手には、きっとあの黒ペンキがついているにちがいない」 少将は命令を発した。
— 海野十三 『浮かぶ飛行島』 青空文庫
右手には黒ペンキがまだそのままにべっとりとついている。
— 海野十三 『浮かぶ飛行島』 青空文庫
その黒ペンキに汚れた手が、今おたずねの目印になっていることを、彼は知っているのであろうか。
— 海野十三 『浮かぶ飛行島』 青空文庫
貴様の手首にくっついている黒ペンキが、なにもかも白状しているぞ。
— 海野十三 『浮かぶ飛行島』 青空文庫
日光にきらめき、風にしぶきながら樽からほとばしる液体は、その樽の上に黒ペンキでおどかすようにかきつけられていたPoison――毒ではなかった。
— 宮本百合子 『あとがき(『宮本百合子選集』第七巻)』 青空文庫
蛇窪無産者託児所と白地へ黒ペンキで書いた標識は、土管の積ねてある側、溝からは一間以上も引こんだ場所に、通行人の注意をひくように往来へ向って立ててあったはずである。
— 宮本百合子 『乳房』 青空文庫
臣青木大佐、死しても護国の鬼とならん」 白ペンキの壁に、黒ペンキの色があざやかである。
— 平田晋策 『昭和遊撃隊』 青空文庫