順潮
じゅんちょう
名詞
標準
文例 · 用例
自己一身にしても或時は運命の順潮に舟を行つて快を得、或時は運命の逆風に帆を下して踟※するやうに見えるといふことがある。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
自分自身にしても或る時は運命の順潮に舟を行って快適を得、或る時は運命の逆風に帆を下して滞留するように見えることがある。
— 幸田露伴 『努力論(現代訳)』 青空文庫
とにかく銀子は、いろいろの人のやり口と、自身の苦い経験から割り出して抱えはすべて仕込みから仕上げることに方針を決めてしまい、それが一人二人順潮に行ったところから、親父の顔のひろい下町の場末へ手をまわして、見つかり次第、健康さえ取れれば、顔はそんなによくなくても取ることにした。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
私の體躯の血潮が有らゆる力を盡して、順潮にめぐつてゐる。
— 吉江喬松 『霧の旅』 青空文庫
櫓は舳先や艫に三、四挺あるが、櫓で運ぶという事は、よくよく順潮の時に少しやるだけで、もっぱら帆によって行く事になっている。
— 内藤鳴雪 『鳴雪自叙伝』 青空文庫
順潮にあらずンば軽舟を浮べざりき。
— 芥川龍之介 『木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)』 青空文庫
たまたま男の継嗣は長寿にめぐまれず、幼児を擁して女帝の摂政がつづいたとはいえ、その成人にあらゆる希願と夢を托して、一方に朝家の勢力、日本支配は着々と進み、すべては順潮であった。
— 坂口安吾 『道鏡』 青空文庫
彼らは乱雑の外に秩序を見、波瀾の外に順潮を見、理想の外に実際を見、黒雲の外に太陽を見るなり。
— 徳富蘇峰 『吉田松陰』 青空文庫