仮初めにも
かりそめにも
副詞
標準
(not even) for a moment
文例 · 用例
左りとて唯これを口に言うばかりでなく、近く自分の身より始めて、仮初めにも言行|齟齬しては済まぬ事だと、先ず一身の私を慎しみ、一家の生活法を謀り、他人の世話にならぬようにと心掛けて、扨一方に世の中を見て文明改進の為めに施して見たいと思う事があれば、世論に頓着せず思切て試みました。
— 福翁自伝 『福翁自伝』 青空文庫
この舌切雀にせよ、また前の瘤取り、浦島さん、カチカチ山、いづれも「日本一」の登場は無いので、私の責任も輕く、自由に書く事を得たのであるが、どうも、日本一と言ふ事になると、かりそめにもこの貴い國で第一と言ふ事になると、いくらお伽噺だからと言つても、出鱈目な書き方は許されまい。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
そんな氷のやうな奴等と、かりそめにも同行を約束したことが誤まりだつた。
— 萩原朔太郎 『大船驛で』 青空文庫
それが、かりそめにも虚偽などを申しては、その名に対しても実に愧ずべきことだ。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
この舌切雀にせよ、また前の瘤取り、浦島さん、カチカチ山、いづれも「日本一」の登場は無いので、私の責任も軽く、自由に書く事を得たのであるが、どうも、日本一と言ふ事になると、かりそめにもこの貴い国で第一と言ふ事になると、いくらお伽噺だからと言つても、出鱈目な書き方は許されまい。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
かりそめにも一夜の恩人たちを訴えるわけにもいかず、いや疑う事さえ不埒な事だ、さりとてこのまま生き延びる工夫もつかず、女房、何も言わずに、わしと一緒に死のうじゃないか。
— 太宰治 『新釈諸国噺』 青空文庫
木立わづかに間ある方の明るさをたよりて、御陵尋ねまゐらする心のせわしく、荊棘を厭はでかつ進むに、そも/\これをば、清凉紫宸の玉台に四海の君とかしづかれおはしませし我国の帝の御墓ぞとは、かりそめにも申得たてまつらるべきや、わづかに土を盛り上げたるが上に麁末なる石を三重に畳みなしたるあり。
— 幸田露伴 『二日物語』 青空文庫
かりそめにも人を強ひたり人を壓したりするやうなことはその氣味さへ見せぬ人であつた。
— 幸田露伴 『淡島寒月のこと』 青空文庫
作例 · 標準
「仮初めにも、神聖な土俵を汚すような真似は断じて許されない」と理事長は語った。
「仮初めにも、他人の不幸を願うような卑屈な考えを持ってはならない」と祖父は諭した。
「仮初めにも、指導者という立場にある者が、差別的な発言を口にすべきではない」と厳しい批判が浴びせられた。
「仮初めにも、学問を志す者が、データの改竄という不正に手を染めてはならない」と教授は釘を刺した。
標準
at any rate
作例 · 標準
「仮初めにも、人の弱みに付け込むような卑劣な真似をしてはいけない」と、祖父は事あるごとに私に言い聞かせていた。
仮初めにも、一国の外交を担う重責にある者が、相手国の文化や歴史を軽んじるような不用意な発言を口にしてはならない。
「仮初めにも、私たちがこの凄惨な事故の教訓を風化させてしまうようなことがあってはならない」と、追悼式典で市長は強く訴えた。
仮初めにも、医療に従事する者が患者のプライバシーを好奇の目に晒すような態度は、職業倫理を著しく逸脱した行為である。