春鶯
しゅんのう
名詞
標準
文例 · 用例
「春鶯囀」という大曲の一部だという「入破」、次が「胡飲酒」、三番目が朗詠の一つだという「新豊」、第四が漢の高祖の作だという「武徳楽」であった。
— 寺田寅彦 『雑記(1)』 青空文庫
春の永日がようやく入り日の刻になるころ、春鶯囀の舞がおもしろく舞われた。
— 花宴 『源氏物語』 青空文庫
辞しがたくて、一振りゆるゆる袖を反す春鶯囀の一節を源氏も舞ったが、だれも追随しがたい巧妙さはそれだけにも見えた。
— 花宴 『源氏物語』 青空文庫
「春鶯囀」が舞われている時、昔の桜花の宴の日のことを院の帝はお思い出しになって、「もうあんなおもしろいことは見られないと思う」 と源氏へ仰せられたが、源氏はそのお言葉から青春時代の恋愛|三昧を忍んで物哀れな気分になった。
— 乙女 『源氏物語』 青空文庫
その他主なるものの数種を挙げるならば、 坪内逍遥訳、リットン「開巻悲憤概世士伝」、関直彦「春鶯囀」、井上勤訳、ジュール・ベルヌ「佳人の血涙」、モア「良政府談」、大石高徳訳「蒙里西物語」「共和三色旗」等々がある。
— 直木三十五 『大衆文芸作法』 青空文庫
夢のように、いつの間にか今日の名残の春鶯囀も終って、各々の前には料紙、硯石箱が置かれた、題は「花の宴」 頭を深くたれて考え込むものもあれば色紙の泣きそうな手で遠慮もなくのたらせるものもある。
— 宮本百合子 『錦木』 青空文庫
川に魚なく、堤の竹藪枯れて、春鶯また巣くはず、夏の夕、蚯蚓の歌ふ声絶えて、小児の蛇を知らざる者あり。
— 木下尚江 『鉱毒飛沫』 青空文庫
何の御用と問はれて稍々、躊躇ひしが、『今宵の御宴の終に春鶯囀を舞はれし女子は、何れ中宮の御内ならんと見受けしが、名は何と言はるゝや』。
— 高山樗牛 『瀧口入道』 青空文庫