掴出
掴出
名詞
標準
文例 · 用例
しゃつ掴出いて奉れ、とある。
— 泉鏡花 『天守物語』 青空文庫
はじめは旅行案内を掴出して、それを投込んで錠を下した時に、うっかり挟んだものと思われる。
— 泉鏡花 『唄立山心中一曲』 青空文庫
やい、腸を掴出せ、へん、馬鹿な、)とニヤリと笑う。
— 泉鏡花 『南地心中』 青空文庫
それがせめてもの思遣りに見えたけれども、それさえ、そうした度の過ぎた酒と色に血の荒びた、神経のとげとげした、狼の手で掴出された、青光のする腸のように見えて、あわれに無慚な光景だっけ。
— 泉鏡花 『南地心中』 青空文庫
はてさて迷惑な、こりや目の前で黄色蛇の旨煮か、腹籠の猿の蒸焼か、災難が軽うても、赤蛙の干物を大口にしやぶるであらうと、潜と見て居ると、片手に椀を持ちながら掴出したのは老沢庵。
— 泉鏡太郎 『高野聖』 青空文庫
」「知れた事を、貴様がお浦を掴出した、……あの旅籠屋に逗留して居る。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
「どういたしまして相済みません、私あね、先生、書生や車夫なんぞが居るてますから、掴出す位なことはするだろうと思ってね、そうしたら一番|撲倒しておいて、そいつを機に消えようと思ったんだが、まるで足腰が立たねえんです。
— 泉鏡花 『三枚続』 青空文庫
)黙って金箱から、ずらりと掴出して渡すのが、掌が大きく、慈愛が余るから、……痩ぎすで華奢なお桂ちゃんの片手では受切れない、両の掌に積んで、銀貨の小粒なのは指からざらざらと溢れたと言う。
— 泉鏡花 『怨霊借用』 青空文庫