戯れ遊ぶ
たわむれあそぶ
動詞
標準
文例 · 用例
さしも息苦き温気も、咽ばさるる煙の渦も、皆狂して知らざる如く、寧ろ喜びて罵り喚く声、笑頽るる声、捩合ひ、踏破く犇き、一斉に揚ぐる響動など、絶間無き騒動の中に狼藉として戯れ遊ぶ為体は三綱五常も糸瓜の皮と地に塗れて、唯これ修羅道を打覆したるばかりなり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
清三は廊下の柱によりかかって、無心に戯れ遊ぶ生徒らにみとれていた。
— 田山花袋 『田舎教師』 青空文庫
眼前に戯れ遊ぶ次郎を見ていても、直ぐ彼の胸には平気で居られないような聯想が迫って来た。
— 島崎藤村 『新生』 青空文庫
茂太郎は、今は、天空を仰いで、星のまたたきと、月のさやけさとをながめて、戯れ遊ぶことだけでは我慢ができなくなりました。
— 勿来の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
次の間で天童の戯れ遊ぶことによって、この世からなる地獄の責めを免れました。
— 小名路の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
そうして或る者は茂太郎の肩につかまって、また離れ、或る者は茂太郎の周囲をめぐりめぐって、戯れ遊ぶもののようです。
— 禹門三級の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
そうして彼等はまたこの遊び場でおのおのの遊戯を持ち出して戯れ遊ぶ。
— 胆吹の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
その堪えがたき裏淋しさと退屈さをまぎらすせめてもの手段は、不可能なる反抗でもなく、憤怒怨嗟でもなく、ぐっとさばけて、諦めてしまって、そしてその平々凡々極まる無味単調なる生活のちょっとした処に、ちょっとした可笑味面白味を発見して、これを頓智的な極めて軽い芸術にして嘲ったり笑ったりして戯れ遊ぶ事である。
— 永井荷風 『妾宅』 青空文庫