燥気
燥気
名詞
標準
文例 · 用例
されども水あるところ湿気無き能わず、火あるところは燥気無き能わず、六月に至りて燕山の護衛百戸|倪諒というもの変を上り、燕の官校于諒周鐸等の陰事を告げゝれば、二人は逮えられて京に至り、罪明らかにして誅せられぬ。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
緑|濃かに生茂れる庭の木々の軽々なる燥気と、近き辺に有りと有る花の薫とを打雑ぜたる夏の初の大気は、太だ慢く動きて、その間に旁午する玄鳥の声|朗に、幾度か返しては遂に往きける跡の垣穂の、さらぬだに燃ゆるばかりなる満開の石榴に四時過の西日の夥く輝けるを、彼は煩しと目を移して更に梧桐の涼き広葉を眺めたり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
彼は人が自分を窘逐すると云うことを苦にしている瘋癲患者、常に寐台の上に丸くなって寐ていたり、或は運動の為かのように、室を隅から隅へと歩いて見たり、坐っていることは殆ど稀で、始終興奮して、燥気して、瞹眛なある待つことで気が張っている様子。
— アントン・チエホフ Anton Chekhov 『六号室』 青空文庫
タヌもようやく焦燥気味で、あちらを捻り、こちらを押すが、商会はアリゾナの野における悍馬のように、ただ後足でぴょんぴょん跳ねくるばかり、一向に埓があく様子もない。
— 合乗り乳母車 ――仏蘭西縦断の巻―― 『ノンシャラン道中記』 青空文庫
テムズ川の汚染増加にたいする乾燥天候の影響 テムズ川の不純物量は今年の8月には長い乾燥気候によって大きく増加した。
— ON THE MODE OF COMMUNICATION OF CHOLERA (1854) 『コレラの伝染様式について』 青空文庫
草木は明らかに日光と日温との作用によつて、大氣を分解し吸收し、氣温と氣壓との作用によつて燥氣を排し水氣を取つてゐる。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
彼は人が自分を窘逐すると云ふ事を苦にしてゐる瘋癲患者、常に寐臺の上に丸くなつて寐てゐたり、或は運動の爲かのやうに、室を隅から隅へと歩いて見たり、坐つてゐる事は殆ど稀で、始終興奮して、燥氣して、曖いた心を、鏡に寫したやうに現はしてゐるのに。
— アントン・チエホフ Anton Chekhov 『六號室』 青空文庫