飛耳
ひじ
名詞
標準
文例 · 用例
ここにおいて飛耳長目の徒は忽ちわが身辺を揣摩して艶事あるものとなした。
— 永井荷風 『十日の菊』 青空文庫
殊に新奇を好んで飛耳張目する俳諧者流の手にかからぬはずはなかろう。
— ――黙子覚書―― 『夢は呼び交す』 青空文庫
――先に黄信が劉高の手に乗って宋江と花栄を檻車に封じたことも、また何から何まですべての予察は、みな彼ら特有なこの“飛耳張目”の探りによっていたのである。
— 吉川英治 『新・水滸伝』 青空文庫
もちろん、彼らはその手先を使って、たえず江を渡らせ、その飛耳張目を八方へくばらせてもいた。
— 吉川英治 『新・水滸伝』 青空文庫
飛耳張目の稼業がらとはいえ、どうしてそこまで仔細に釘勘の探りが早くついていたかといえば、手懸りは例の切支丹屋敷――官庫荒しの一件が逐一町奉行所の手へ移されたがためでした。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫
飛耳張目 江の島から藤沢の宿を駕で通して、大山街道の一|立場、厚木の町へ這入ッたふたりの侍があります。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫
この間うちから「目ざまし草」の箱胴乱をかけて、しきりと秦野屋に出入りし、折あるごとに九兵衛の手をへて、奥へ密書をもたらして来た者たちは、皆これ、日本左衛門のさしがねをうけて何物かを探しあるく、彼の視る目かぐ鼻ともいうべき役者――飛耳張目の報告なのであります。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫
いや、暗に巣を張る、多くの手下の飛耳張目が、雲をつかむような迷宮のうちから、その手がかりをだんだんと積層してきて、今では、そのありかがこことまでは分らないが、ある地域の範囲内に限定されて来ております。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫