微官
びかん
名詞
標準
文例 · 用例
現に国香の子の常平太貞盛もまた都上りをして、何人の奏薦によつたか、微官ではあるが左馬允となつてゐたのである。
— 幸田露伴 『平将門』 青空文庫
しかし後に身を吏籍に置いてからは、微官におったにもかかわらず、頗る材能を見した。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
次に壽阿彌は微官とは云ひながら公儀の務をしてゐて、頻繁に劇場に出入し、俳優と親しく交り、種々の奇行があつても、曾て咎を被つたことを聞かない。
— 森鴎外 『壽阿彌の手紙』 青空文庫
不思議な事には両川とも功名心が薄く、各々数年露国に留学して帰朝した後、しばしば先進の大官から重要の椅子を薦められても決して肯んじないで、一は終生微官に安んじ、一は早くから仕官を辞して、功名栄達を白眼冷笑していた。
— 内田魯庵 『二葉亭四迷の一生』 青空文庫
当時家族五人、予や明治十二年以降、某|官衙に微官を奉ず。
— 井上円了 『妖怪報告』 青空文庫
「余が困る」 あまり義昭が泣き言いうので、信長は、前の恩命よりずっと低い従五|位下弾正忠という微官をうけた。
— 第三分冊 『新書太閤記』 青空文庫
そうなって来ると、有名無実の一微官たる左衛門尉・右衛門尉もいよいよもって涙のこぼれるほどありがたいものとなり、従って国に帰ってもしすでに左衛門尉となっている太郎殿を、太郎左衛門尉と呼ばずに間違えて、ただ、太郎殿と呼ぼうものなら、もちろん決闘くらいは申し込んだのであります。
— 柳田國男 『名字の話』 青空文庫