髪染
かみそめ
名詞
標準
文例 · 用例
真夏の事でね……五十|面をてらてら磨いて、薄い毛を白髪染さ、油と香水で真中からきちんと分けて、――汗ばむから帽子を被りません――化粧でもしたらしい、白赤く脂ぎった大面の頤を突出して、仰向けに薄目を開けた、広い額がてらてらして、べっとりと、眉毛に墨を入れたのが、よく見える。
— 泉鏡花 『卵塔場の天女』 青空文庫
涙垂らすな、お勘婆、やれ、汝も尻拭け、お時婆、慾ばれ、気ばれ、白髪染塗れ、お熊婆。
— 北原白秋 『畑の祭』 青空文庫
ところが、あのお齢になってさえも、相変らず白髪染めだけは止めようとはなさいません。
— 小栗虫太郎 『白蟻』 青空文庫
一番目は中村宗十郎が大阪から上って来て、彼が得意の「有職鎌倉山」を出し、中幕は団十郎の「白髪染の実盛」と「船弁慶」であったが、一番目ではやはり左団次の三浦荒次郎がわたしの眼についた。
— 岡本綺堂 『明治劇談 ランプの下にて』 青空文庫
いかにも瑞鳥でわが徳を感じて天が祥瑞を下したと悦び、餌を与うるも食わず、吐息ついて死んだから吟味すると、何か法螺を吹き損わせて笑いやらんと巧んで、白髪染剤で常の雀を染めその毒に中っておとなしく沈みいたと判った。
— 鼠に関する民俗と信念 『十二支考』 青空文庫
白髪染の薬瓶と竹の歯ブラシ。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
フフン―― 槇子は、白髪染で染たらしい黒すぎる部長の髪を、睫毛の先きで軽蔑した。
— 矢田津世子 『罠を跳び越える女』 青空文庫
近代的|懐疑とか、近代的盗賊とか、近代的|白髪染めとか――そう云うものは確かに存在するでしょう。
— ――或は「恋愛は至上なり」―― 『或恋愛小説』 青空文庫