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細砂

さいさ
名詞
1
標準
文例 · 用例
波頭が砂浜をはい上がって引いたすぐあとの湿った細砂の表面を足で踏むと、その周囲二三尺ほどの所が急にすうとかわくが、そのまま立ち止まっていると、すぐにまた湿って来ます。
寺田寅彦 夏の小半日 青空文庫
試みにこのような、充分水を含んだ細砂を両手で急に強く握りしめると、湿気が失せて固くなるが、握ったままでいるとだんだん柔らかくなってダラダラ流れ出します。
寺田寅彦 夏の小半日 青空文庫
凝と坐って耳を傾けると、目の下の湖では淡黄色い細砂に当って溶ける優婉な漣の音が、揺れる楊柳の葉触れにつれて、軽く、柔く、サ……、サ……、と通って来る。
宮本百合子 追慕 青空文庫
我邦では支那と同じく往々観賞のため、庭園に植えられてある事があるが、関東地方では利根、荒川河畔なる細砂土の処には野生している。
牧野富太郎 植物記 青空文庫
○潮満てば水沫に浮ぶ細砂にも吾は生けるか恋ひは死なずて 〔巻十一・二七三四〕 作者不詳 海の潮が満ちて来ると、水の沫に浮んでいる細かい砂の如くに、恋死もせずに果敢なくも生きているのか、というので、物に寄せた歌だから細砂のことなどを持って来たものだろうとおもうが、この点はひどく私の心をひいている。
斎藤茂吉 万葉秀歌 青空文庫
細砂にも」をば、細砂にも自分の命を托して果敢無くも生きていると解するともっと近代的になる。
斎藤茂吉 万葉秀歌 青空文庫
この句を旧訓に従って、ナリシカと訓み、解釈を「細砂になりたいものだ」とする説もある(新考)。
斎藤茂吉 万葉秀歌 青空文庫
いずれにしても、細砂の中に自分の命を托する意味で同一に帰着する。
斎藤茂吉 万葉秀歌 青空文庫