揺籃
ようらん
名詞
標準
cradle
文例 · 用例
……愛せよ揺籃より柩にまで汝を愛せし者を愛せよ、わが愛したる者のみ独り、今も猶我をば愛す。
— 中原中也 『ヂェラルド・ド・ネルヴァル』 青空文庫
爾来最後まで同所長事務取扱の職に留まってこの揺籃時代の研究所の進展に骨折っていた。
— 寺田寅彦 『工学博士末広恭二君』 青空文庫
これもシーザーやポンペイの活躍していた恐怖時代のローマの片すみで静かに科学の揺籃をつづっていたこの人の心境をうかがわせるに足るのである。
— 寺田寅彦 『ルクレチウスと科学』 青空文庫
しかし、物の表面の「粗度」の物理的研究はまだ揺籃時代を過ぎない。
— 寺田寅彦 『感覚と科学』 青空文庫
しかし現代ではまだ、学者で新聞雑誌にものを書くことが悪い意味でのいわゆるジャーナリズムの一部であるように考える理由なき誤解があるのと、また一方では新聞雑誌の経営者と一般読者とが、そういうものの真価値を充分に認識しないのとで、この種の特殊文学はまだ揺籃時代を脱することができないようである。
— 寺田寅彦 『科学と文学』 青空文庫
白い蓋をした揺籃車の中に嬰児が眠つてゐる。
— 木下杢太郎 『市街を散歩する人の心持』 青空文庫
(二十) 病と貧と (続) 噫、貧困は実に天才を護育するの揺籃なりき。
— 石川啄木 『閑天地』 青空文庫
米国の一文人|嘗て驚嘆して曰く、あゝ我が国の丸木小屋は夫れ大人物を出すの揺籃か、と。
— 石川啄木 『閑天地』 青空文庫