草摺
くさずり
名詞
標準
tassets (on a suit of armor, armour)
文例 · 用例
角の九つある、竜が、頭を兜に、尾を草摺に敷いて、敵に向う大将軍を飾ったように。
— 泉鏡花 『紅玉』 青空文庫
」 その時、松崎の女房は、二階へばたばたと駈上り、御注進と云う処を、鎧が縞の半纏で、草摺短な格子の前掛、ものが無常だけに、ト手は飜さず、すなわち尋常に黒繻子の襟を合わせて、火鉢の向うへ中腰で細くなる…… 髪も櫛巻、透切れのした繻子の帯、この段何とも致方がない。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
如何にこれから戦に赴く途中であるとしても、皆具取鎧うて草摺長にザックと着なした大鎧で茶室へも通れまいし、又如何に茶に招かれたにしても直に其場より修羅の衢に踏込もうというのに袴肩衣で、其肩衣の鯨も抜いたような形も変である。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
まだ船底を踏占めるような、重い足取りで、田畝添いの脛を左右へ、草摺れに、だぶだぶと大魚を揺って、「しいッ、」「やあ、」 しっ、しっ、しっ。
— 泉鏡花 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫
が、左の手は、ぶらんと落ちて、草摺の断れたような襤褸の袖の中に、肩から、ぐなりとそげている。
— 泉鏡花 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫
式部|手鑓にて真柄が草摺のはずれ、一鑓にて突きたれど、真柄物ともせず、大太刀をもって払い斬りに斬りたれば、匂坂が甲の吹返しを打ち砕き、余る太刀にて鑓を打落す。
— 菊池寛 『姉川合戦』 青空文庫
時正に深更夜色沈々只鳴るものは鎧の草摺のかすかな音のみである。
— 菊池寛 『川中島合戦』 青空文庫
それで主利家と同じ様に馬から仰向けに落されたのだが、落ち際に相手の草摺に取付いて、諸共に川の中に引摺り込んだ。
— 菊池寛 『長篠合戦』 青空文庫