用立て
ようだて
名詞
標準
文例 · 用例
「わしはそのお礼によって、あとくされと紛議をかもさないように奥さんにご用立てしましょう。
— 吉行エイスケ 『女百貨店』 青空文庫
何また御使い道がありゃ御用立て申します。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
頃は丁度幕末維新に際したので、太兵衛は麻廻送の自持ちの船を以て、官軍方にも幕軍方にも用立てゝ莫大な利益を占めた。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
自分が学校で古いフィロソフィカル・マガジンを見ていたらレヴェレンド・ハウトンという人の「首つりの力学」を論じた珍しい論文が見つかったので先生に報告したら、それはおもしろいから見せろというので学校から借りて来て用立てた。
— 寺田寅彦 『夏目漱石先生の追憶』 青空文庫
これほどの赤染右衛門に出て来られて、有り余る才を向う側に用立てられて、しかも正しい道理のある方に立って物を云われては、定基たるものも敵う筈は無い、差当りだけでも、如何にも御もっともと、降伏せざるを得ないところであった。
— 幸田露伴 『連環記』 青空文庫
△△が昨日も来てハンドレッドばかり置いて行ってくれるし、何ならちっと御用立てしましょうかね。
— 徳田秋声 『黴』 青空文庫
青柳に貸した金の額は、お島にはよくは判らなかったが、家の普請に幾分用立てた金を初めとして、ちょいちょい持っていった金は少い額ではないらしかった。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫
二三日前にも見本を地方へ送る郵税が、予想より超過したとかで、私はそれを用立てて一安心してゐるところであつた。
— 徳田秋聲 『和解』 青空文庫