投扇
とうせん
名詞
標準
文例 · 用例
また年寄と二人で半弓の技を争つたり、投扇遊びに打ち興じて夜を更すこともあつた。
— 牧野信一 『籔のほとり』 青空文庫
「ムクや、お前とここで投扇興をして遊びましょう、わたしが投げるから、お前、取っておいで」 こう言ってお君は、手にしていた扇子を颯と開いて投げました。
— 安房の国の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
ある晩は、歌留多をよむ声が高くきこえてきたり、投扇興にキャッと笑っていたりする。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫
投扇興 ふと―― 刀の柄糸の縺れを見つけて、それを気にしてつくろいだすと、いじればいじるほど解けて来て、果ては、しまつが悪くなったので、糸切歯をあててプツンとかみましたが、その糸屑も唇にくわえたまま、なぜか、相良金吾の目にいつまでも、消えない怒りが燃えていました。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫
つまり、これから投扇の技をくらべて、月江が次郎の鼻を明かそうという趣向かにみえます。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫
おりんも次郎も、投扇にはまだ初心とみえて、どうやるのかと神妙に畏まッていると、月江は、表十組の橋立が何点、春の野が何点、富士が何点、裏の高砂有明が何点といちいち説明して、投技の秘訣に及び、さておしまいには、小さな冊子を膝にひろげて、投扇の起源という一齣まで読んで聞かせました。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫
われながらいみじき事に覚えて、今一度と、扇を取って幾十返りかこれを投げるといえども、枕の前後に落ちて、枕上に止まらず、これより投壺の遊びを思いよりて投法をたて、投扇興と名づけて専ら宴遊の間に流布されしとなん。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫
あまり深く聞くのも失礼だと思いましたから、無邪気なおりんと単純な次郎と、世間見ずなお嬢様とが、そこでまたかれの望みに任せて、投扇の点取りをやって遊びはじめました。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫