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揺々

ようよう
形容動詞
1
標準
文例 · 用例
まあ、お酒の香がしてねえ、」と手を放すと、揺々となる矢車草より、薫ばかりも玉に染む、顔酔いて桃に似たり。
泉鏡花 婦系図 青空文庫
あわれ、祖母に導かれて、振袖が、詰袖が、褄を取ったの、裳を引いたの、鼈甲の櫛の照々する、銀の簪の揺々するのが、真白な脛も露わに、友染の花の幻めいて、雨具もなしに、びしゃびしゃと、跣足で田舎の、山近な町の暗夜を辿る風情が、雨戸の破目を朦朧として透いて見えた。
泉鏡花 国貞えがく 青空文庫
夜帆往来して島陰より出るものは微火揺々たり。
森鴎外 伊沢蘭軒 青空文庫
その響の消ゆる頃|忽ち一点の燈火は見え初めしが、揺々と町の尽頭を横截りて失せぬ。
尾崎紅葉 金色夜叉 青空文庫
足の踏所も覚束無げに酔ひて、帽は落ちなんばかりに打傾き、ハンカチイフに裹みたる折を左に挈げて、山車人形のやうに揺々と立てるは貫一なり。
尾崎紅葉 金色夜叉 青空文庫
翠華は、揺々として西に向ひ、霓旌は飜々として悲風に動く、嗚呼、「昨日は東関の下に轡をならべて十万余騎、今日は西海の波に纜を解きて七千余人、保元の昔は春の花と栄えしかども、寿永の今は、秋の紅葉と落ちはてぬ。
芥川龍之介 木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌) 青空文庫
そうして二分間ほどして魂魄の脱けたものゝように、小震いをさせながら、揺々と、半分眼を瞑った顔を上げて、それを此方に向けて、頬を擦り付けるようにして、他の口の近くまで自分の口を、自然に寄せて来た。
近松秋江 別れたる妻に送る手紙 青空文庫
縁から見ると、七分目に減った甕の水がまだ揺々して居る。
徳冨健次郎 みみずのたはこと 青空文庫