飲屋
のみや
名詞
標準
文例 · 用例
裏小路に出ればそこは所謂鐘路裏で、カフェー、バー、立飲屋、おでん屋、麻雀屋、周旋屋、飲食店、旅館等が、目をぴかぴか光らせたり、口を開けたり、尻ごみしたり、地べたにひっつくように蹲んだりしている。
— 金史良 『天馬』 青空文庫
とうとう優美館裏あたりの大分淋しいところまでやって来た時は寸歩も足を運ぶことが出来ないまでにくたくたに疲れ、一先ずそこらのとあるきたならしい立飲屋へ潜り込んだのである。
— 金史良 『天馬』 青空文庫
駅のそばまでぶらぶら歩いて、小さい飲屋の繩のれんをくゞつた。
— 林芙美子 『浮雲』 青空文庫
去年はまだ人影も疎な村道だったのに、もううちの隣りの本屋からはじまって理髪屋、雑貨屋、文房具屋、魚屋、飲屋の赤提灯ずらりと軒並の店で、バスの停留場前の雑貨店は百貨店式にガラスのショウ・ケイスをいくつも並べ、資生堂の化粧品、ネクタイ、バッグ、ホームドレス、パラソル。
— 一九四一年(昭和十六年) 『日記』 青空文庫
現にこの間、歌舞伎座で河合、喜多村の両優によって、はじめて女史の作が劇として上場されたあの「濁り江」は、この家に移ってから、その近傍の新開地にありがちな飲屋の女を書いたものであった。
— 長谷川時雨 『樋口一葉』 青空文庫
」 戦後、東京の今の家に戻って来て、飲屋を始めてからも、千代乃は実によく働いてくれた。
— 豊島与志雄 『どぶろく幻想』 青空文庫
当時の飲屋のことだから、ヤミの品物を扱うのは止むを得なかった。
— 豊島与志雄 『どぶろく幻想』 青空文庫
怪しげな飲屋の女中なんかしていたのを、わたしが拾いあげてやった、その恩義はけろりと忘れて、十五も二十も年が違うのに一緒になってやったと、逆にこちらへ恩を着せようとする。
— 豊島与志雄 『庶民生活』 青空文庫