床杯
とこさかずき
名詞
標準
文例 · 用例
そして酒の激しい勢いでもってワッと立ち上ると、床杯をすませたばかりの別室に雪崩れこんだから、武士の名誉にかけてもうどうすることも出来なくなりました。
— 海野十三 『くろがね天狗』 青空文庫
この日よ、この夕よ、更けて床盃のその期に※びても、怪むべし、宮は決して富山唯継を夫と定めたる心は起らざるにぞありける、止この人を夫と定めざるべからざる我身なるを忘れざりしかど。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
それは其でよいとして、さて、其夜お定りの床盃がすみ、彌よ嫁御が死ぬる段に成て、叔父が較や遠方から偵がふと、怪しむべし、新夫婦のみ籠つた新築の離れ屋の、ぐるりの石垣に、幾らともなく横さらふ角鹿の蟹樣の物が取付き這廻る。
— 南方熊楠 『蓮の花開く音を聽く事』 青空文庫
それから博士夫妻の介添で、床盃の式が済んで二人きりになると、最前から憂鬱な顔をし続けていた澄夫は、無雑作に………………、………………………………………………………………………。
— 夢野久作 『笑う唖女』 青空文庫
床盃が済むと、屏風の中は二人きりになつた。
— 片岡鉄兵 『菜の花月夜』 青空文庫
これから商いをしまって愈々床盃と相成ります。
— 三遊亭圓朝 『鹽原多助一代記』 青空文庫
三々九度の盃は殿の御前で済ませたのですが、せめて床盃の世話でもしてくれなければ――といった物足りない心持で、六郷左京は新婦の待っている閨へ入って行きました。
— 左京の恋 『奇談クラブ〔戦後版〕』 青空文庫
それは婚礼の夜の、床盃の支度であった。
— 山本周五郎 『竹柏記』 青空文庫