濳
濳
名詞
標準
文例 · 用例
)われは心を死せる文字の間に濳むること能はず、魂を彼のミケランジエロが世に罕なる丹青の力もて此堂の天井と四壁とに現ぜしめたる幻界に馳せたり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
かくて昔のやしなひ親にたよりて、人目少き猶太廓に濳み居たるは、一年半ばかり前の事といへば、ベルナルドオが逢ひしは此時なり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
我好古の眼もて視るときは、是れ猶|古のリリス河にして、其水は蘆荻叢間の黄濁流をなし、敗將マリウスが殘忍なるズルラに追躡せられて身を此岸に濳めしも、昨の猶くぞおもはるゝ。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
マリウス敗れて此河岸に濳み、萬死を出で一生を得て、難を亞弗利加に避けしが、その翌年土を捲きて重ねて來るや、羅馬府を陷いれ、兵を縱ちて殺戮せしむること五日間なりき。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
われは思慮を費すに遑あらずして、近き亭の内に濳みしに、男は面に笑を湛へて閾上に立ち留まりぬ。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
頭を囘せば、斷崖千尺、斧もて削り成せる如くにして、乘る所の舟は崖下の小洞穴より濳り出でしなり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
かの怪しき翁の舟の、狹き穴より濳り出しをば、われ明かに記憶せり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
われその響を追ひて狹き戸を濳り出でしに、道は「ミユルツス」と葡萄との鬱茂せる間に窮まりて、脚底|千仞の斷崖を形づくれり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫