宵空
よいぞら
名詞
標準
文例 · 用例
翌年の花どきが来て、雄魚たちの胸鰭を中心に交尾期を現す追星が春の宵空のように潤った目を開いた。
— 岡本かの子 『金魚撩乱』 青空文庫
夫人は今宵空色の衣を着たるが、いと善く似合ひたり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
でその家も宵空の下に、何んの明るさも持たないところの、盲目じみた家として、広い裏庭に立つことになった。
— 国枝史郎 『猫の蚤とり武士』 青空文庫
左右は、おそろしく高い切り通しの石だたみで、二つの崖をつなぐ鉄の陸橋が、宵空に太く黒く近代都市らしい輪郭を浮き出させている。
— 宮本百合子 『風知草』 青空文庫
手洗場の前の廊下から、硝子窓に額を当てて外を見ると、正月の宵空は真っ暗で、星一つ見れない雪模様です。
— 野村胡堂 『笑う悪魔』 青空文庫
もっと俗な所で――』 と、其処では一度別れて、約束の刻限に、数右衛門が通用門から出て行くと、庄左衛門は先に外へ出て居て、灰色の宵空をながめながら立っていた。
— 吉川英治 『※かみ浪人』 青空文庫
宵空は、星雲にけむっている。
— 吉川英治 『源頼朝』 青空文庫
三蔵たち、青鷺組の者は、そこから小一里さきの、庄内川の渡り口を扼している大留城を、やがて宵空の彼方に見る辺りまで、近づいて行った。
— 第十分冊 『新書太閤記』 青空文庫