陥
おちいっ
名詞
標準
文例 · 用例
既に処世上、何等確信なき社会の多くが、流行に駆られて今の世にあっては、斯くせねばならぬかの如くに誤解し、日常の要務をば次にして、やれ家庭の趣味じゃ、家庭の娯楽じゃと騒ぎ散らす様であったならば、今の家庭説は徒らに社会に驕奢を勧めたるの結果に陥るのである。
— 伊藤左千夫 『家庭小言』 青空文庫
学問の上に最も不幸なりし予は、遂に六箇月を出でざるに早く廃学せねばならぬ境遇に陥った。
— 伊藤左千夫 『家庭小言』 青空文庫
歌の生死の境が真に一分一厘の処にあるのであるから、ほんの一厘の差で乾燥無味に陥って終うのである。
— 伊藤左千夫 『歌の潤い』 青空文庫
全くの処、恋に陥ってしまっている。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
ところが、幸に外国人が、外国の文字で表音的に当時の日本語を写したものがあって、その闕陥を補うことが出来る。
— 橋本進吉 『国語音韻の変遷』 青空文庫
しかも、たまたま「いき」の闡明が試みられる場合には、おおむねこの誤謬に陥っている。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
また、西洋のデコルテのように、肩から胸部と背部との一帯を露出する野暮に陥らないところは、抜き衣紋の「いき」としての味があるのである。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
しかしながら、「いき」な建築にあってはこれら二元性の主張はもとより煩雑に陥ってはならない。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫