怪僧
かいそう
名詞
標準
evil priest
文例 · 用例
王上に白を冠すれば、其文は皇なり、儲位明らかに定まりて、太祖未だ崩ぜざるの時だに、是の如きの怪僧ありて、燕王が為に白帽を奉らんとし、而して燕王|是の如きの怪僧を延いて帷を王に薦む。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
天知君は文覚の知己なり、我は天知君をして文覚と手を携へて遊ばしむるを楽しむ、暗中禅坐する時、彼の怪僧天知君を訪らひ来て、豪談一夜|遂に君を起して彼の木像を世に顕はさしむるに至りたるを羨まず。
— 北村透谷 『心機妙変を論ず』 青空文庫
水滸の中に長年立籠つてゐて、人を斬り家を焼き、天下の豪傑と結び、帰順して後は、征戦縦横、堅陣を破り、強賊を砕いて、専ら豪壮を事としてゐた怪僧魯智深でさへ、八月秋立つて、夜更けに響き渡る江上の此波浪を耳にした時は、がばとばかり身を起して、窓から遠く月下の狂浪を眺めやつた。
— 吉江喬松 『海潮の響』 青空文庫
じつとその波の面を見詰めてゐた怪僧は、やがて、「我が終焉期が来た」といつて、月光の射し込む草堂の中に、固く膝を組んで眼を閉ぢてしまつた。
— 吉江喬松 『海潮の響』 青空文庫
水戸の怪僧のインチキ性がいかに世人に一目瞭然であっても、騙される快感はむしろ個人の特権として、益々身にしみることになるのかも知れない。
— 湯の町エレジー 『安吾巷談』 青空文庫
文覚以来絶えてない那智の荒行をやって、十幾たび気を失い、天下に名をとどろかした怪僧であった。
— その三 魔教の怪 『明治開化 安吾捕物』 青空文庫
初代木村重松慶安太平記に於ける怪僧善達吉田焼打の悲愁嗚咽の節調をまざ/\と私に想起せしめずにはおかなかつた。
— 正岡容 『浅草燈籠』 青空文庫
しかし相手は名にし負う怪僧である、父の首という髑髏を前にして疑心湧き出ずるのを押えることは出来なかった。
— 第五巻 『現代語訳 平家物語』 青空文庫