担荷
たんか
名詞
標準
文例 · 用例
三枝は、「一寸失敬」と云うかと思えば、小さい四辻に担荷を卸して、豆を煎っている爺さんの処へ行って、弾豆を一袋買って袂に入れる。
— 森鴎外 『ヰタ・セクスアリス』 青空文庫
そして午前九時頃には担荷に乗せられて、隔離病舎に収容された。
— 石川啄木 『鳥影』 青空文庫
ところが薄|莫迦げた物腰や異様な風采のために、爺は周囲の支械軍(担荷人)達に取り囲まれて嬲られるようになった。
— 金史良 『土城廊』 青空文庫
私は、同じスウィスでも、もうファッキーノと伊太利語に変った担荷夫を呼んで、すぐ下のアードラー・シュタットホーフ Adler Stadthof へ荷物を搬ばせた、テレースからはすぐ眼の下で、サン・ロレンツォ San Lorenzo の高塔が、落ちかかる入日を浴びて美しい。
— 辻村伊助 『スウィス日記』 青空文庫
ロープとリュックサックは、ティンダル博士がワイスホルンの登山に使ったと云う、頑固な奴だの、救命用具では、丁寧に、かつぐばかりにズックの担荷に包んだ、等身大の人形まで並べてある、繃帯の間から蒼ざめた顔を半分だして、御前も気をつけなよって云ってるようなのが気持ちが悪い。
— 辻村伊助 『スウィス日記』 青空文庫
そう云えば、イム・バンネ・デヤ・ユンクフラウ Im Banne der Jungfrau には、アイスメーヤを見物に来た旅の男が、クレヴァスに落ちて、やっと死骸を引っぱり揚げた瞬間の、朦朧とした写真があるが、いくら画や写真の題になっても、こんな担荷で下ろされるのはいやだ。
— 辻村伊助 『スウィス日記』 青空文庫
室には、食器は一通りそなえてあるし、隅の書庫には、英独仏の聖書をはじめ、小説や雑誌などが可なりある、天井には、ベルンで見たような、担荷が二つかけてあった。
— 辻村伊助 『スウィス日記』 青空文庫
そこへ、夜鷹|蕎麦の担荷が通った。
— 吉川英治 『大岡越前』 青空文庫