忘れられない
わすれられない
形容詞
標準
unforgettable
文例 · 用例
この鎌倉での一夜のことは、未だに猶氣味惡く忘れられない。
— 萩原朔太郎 『芥川君との交際について』 青空文庫
以来アドリンは彼によつて忘れられないものとなつた。
— 中原中也 『ヂェラルド・ド・ネルヴァル』 青空文庫
陽春の日に、蒲公英の咲く長堤を逍遥するのは、蕪村の最も好んだリリシズムであるが、しかも都会の旗亭につとめて、春情学び得たる浪花風流の少女と道連れになり、喃々戯語を交して春光の下を歩いた記憶は、蕪村にとって永く忘れられないイメージだったろう。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
その時の苦しみは忘れられないが、しかしちょっと言葉につまるとヘルマン教授が狙っていたように必要な言葉をどなってくれるので、その度に地獄で仏に会ったような気がするのであった。
— 寺田寅彦 『ベルリン大学(1909-1910)』 青空文庫
恩といへば、小さい時から、もう恩だらけで、いまでも、一日も忘れられない恩人が、十人以上もありますし、一々お名前を擧げて言ふのも、水くさくて、かへつて失禮でせうし、『大恩は語らず』といふ言葉のとほり、私は今では、あまり口に出して言ひたくないのです。
— 太宰治 『大恩は語らず』 青空文庫
小躍りして悦んだことが今に忘れられない。
— 伊藤左千夫 『井戸』 青空文庫
僕と民子との関係も、この位でお終いになったならば、十年忘れられないというほどにはならなかっただろうに。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
裏窓からその蚊帳を通して来る萌黄色の光に包まれたこの小さな部屋の光景が、何故か今でも目について忘れられない。
— 寺田寅彦 『中村彝氏の追憶』 青空文庫