気ぶっせい
きぶっせい
形容動詞
標準
文例 · 用例
御米は小六と差向に膳に着くときのこの気ぶっせいな心持が、いつになったら消えるだろうと、心の中で私に疑ぐった。
— 夏目漱石 『門』 青空文庫
昔気質の母は、この頃何かと気ぶっせいな娵を自分達から一時別居させて以前のように息子と二人きりになれる気楽さを圭介の前では顔色にまで現わしながら、しかし世間の手前病気になった娵を一人で転地させる事にはなかなか同意しないでいた。
— 堀辰雄 『菜穂子』 青空文庫
ほかの町内の風呂というのはなんとなく気ぶっせいなもので、無駄口をたたきあう知った顔もないから、濡手拭いを頭へのせてだんまりで湯につかっていると、ふと、こんなモソモソ話が聞えてきた。
— 蠑※ 『顎十郎捕物帳』 青空文庫
それゃ、もうどうしたって、ね……なにか失礼なことをいっていますが、間もなく、落着くでしょう……あなたも気ぶっせいでしょうし、今夜はキャンプ村のバンガローで泊られたらどうですか。
— 久生十蘭 『肌色の月』 青空文庫
気ぶっせいかも知れねえが、常式通り相調べということにしてもらおうか。
— 山王祭の大象 『平賀源内捕物帳』 青空文庫
なんだか気ぶっせいで、嫌なのである。
— 雁来紅の家 『キャラコさん』 青空文庫
――考えるとまた厭なことが起こりそうで、さりとて相談をする者もなく、気ぶっせいな感じを独りでもて余した。
— 山本周五郎 『柳橋物語』 青空文庫
今でも、母のいないところでは、ときによると、かなしいほど母に愛情を感じるが、いっしょにいると、堪らなく気ぶっせいで、鬱陶しくて、苛いらしてくる。
— 山本周五郎 『山彦乙女』 青空文庫