牡犬
おいぬ
名詞
標準
文例 · 用例
唯の夜遊びでさへ村中押し歩くのだから兼次がおすがを嗅き出すのは牡犬が牝犬を搜すよりも速かであつた。
— 長塚節 『芋掘り』 青空文庫
いつも毛をもじゃもじゃにしている尨犬のアデリと、脚の細い牡犬のポプリだ。
— または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊 『死せる魂』 青空文庫
あたしね、あんただから打明けるのだけれど、ずゐぶん、いろんな牡犬につけまはされてゐるの。
— ZAPISKI SUMASHEDSHAWO 『狂人日記』 青空文庫
宿に飼へる牡牝二匹の中の牡犬も來り加はれり。
— 大町桂月 『阿武隈川水源の仙境』 青空文庫
牡犬なれば悪性にても不能にても苦しからずや。
— 福沢諭吉 『女大学評論』 青空文庫
二人をつなぐ魂の糸はもはや一つも見当らず、太平はキミ子の肉体を貪るやうに愛撫して、牝犬を追ふ牡犬のやうな自分の姿を感じてゐた。
— 坂口安吾 『外套と青空』 青空文庫
牡犬のやうに私のまはりを這ひまはらせたあげく毛もぬき目の玉もくりぬいて突き放してやらうかと思つた。
— 坂口安吾 『続戦争と一人の女』 青空文庫
その後に続いて、牝犬を追う牡犬のように、この私がノコノコ入って行ったことは、申す迄もありません。
— 野村胡堂 『法悦クラブ』 青空文庫