液質
えきしつ
名詞
標準
文例 · 用例
粘液質などという言葉が何かの啓示のように耳にひびく。
— 寺田寅彦 『笑い』 青空文庫
粘液質で、齒當りが甚だ好い。
— 木下杢太郎 『すかんぽ』 青空文庫
流布される人気は何時の場合も、好感的なもので、作為のない彼の人柄がさうした好ましさを生むのであらう、この作家の初期の画面は神経をゆきわたらした、ねつとりとした粘液質のものだが、最近作では次第にそれが様式化され図式化されてきてゐて、淡白なものになつてゐる。
— 美術論・画論 『小熊秀雄全集−19−』 青空文庫
総体として彼女には、黒死館人特有の、妙に暗い粘液質的なところはなかったのである。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
一つは体を労られるため、一つは粘液質の鈍感者流が自分の云っていることが自分に解らず、その為め人にも解るまいと、そこで眼を怒らせ声を大にし、丁寧に疾呼反覆するあの悲しむ可き喜劇なるものを、踏襲する必要が無いためとで、いつも氏は低声で物を云われる。
— 国枝史郎 『小酒井不木氏スケッチ』 青空文庫
この家康だけは真人間だったが、少し粘液質の鈍感者で、はなやかな事は出来なかったらしい。
— 国枝史郎 『剣侠受難』 青空文庫
性格をちっともあの冷たい粘液質においてつかんでいない。
— 一九三七年(昭和十二年) 『獄中への手紙』 青空文庫
彼は粘液質な顔に、激しい動乱の色を浮べ、フーマンのところに駆せつけた。
— 宮本百合子 『古き小画』 青空文庫