室々
室々
名詞
標準
文例 · 用例
校庭は幾分赤味の勝つた砂の色で、閉ざされた教室々々の窓の硝子は雲母のやうに照れ返つてゐる。
— 〔私が貧乏で〕 『夏』 青空文庫
三階の廊下から見上げた山腹の各旅館の、明るく灯のともつた室々の障子の列が上へ上へと暗い夜空の上に累積してゐる光景は、龍宮城のやうに、蜃氣樓のやうに、又ニユーヨークの摩天樓街のやうにも思はれた。
— 寺田寅彦 『伊香保』 青空文庫
それはQ――芸館の階上階下、全部の室々を当てゝ開展されたのである。
— 岡本かの子 『花は勁し』 青空文庫
二階の室々にはいろいろな遺物など並べてありますが、私にはゲーテの実験に使った物理器械や標本などがおもしろうございました。
— 寺田寅彦 『先生への通信』 青空文庫
法水の細心な思慮は、いち早く階段を駈け上ろうとする二人を引き止めて、まず検事に、今入った入口の扉際で張り番をさせ、自分はルキーンを伴って、階下の室々を調べ歩いた。
— 小栗虫太郎 『聖アレキセイ寺院の惨劇』 青空文庫
年中、高架線の轟音と栄養不足で痛められている、裸足の子供たちがガヤつく左右の室々。
— 遊魂境 『人外魔境』 青空文庫
足音の主は四囲を見廻し、私の叫びが決して遠い室々へ迄は達かぬのを推察した。
— 松永延造 『職工と微笑』 青空文庫
この家はレデー(このレデーという字の下に棒が引いてある)の所有にて室内の装飾の立派なるはもちろん室々はことごとく電気灯を用いよき召使を雇い高尚優雅なる生活に適するように意を用い候。
— 夏目漱石 『倫敦消息』 青空文庫