黴菌
かびきん
名詞
標準
文例 · 用例
暗い、暑い、息詰る、臭い、ムズムズする、悪ガスと、黴菌に充ちた、水夫室だった。
— 葉山嘉樹 『労働者の居ない船』 青空文庫
エー、それから、あ、それでよろしい」 船長は、黴菌を殺すために、――彼はそう考えた――高価な、マニラで買い込んだ許りの葉巻を、尻から脂の出るほどふかしながら、命令した。
— 葉山嘉樹 『労働者の居ない船』 青空文庫
これも近頃聞いた話であるが、稲の生長を助けるアゾトバクテルという黴菌がある。
— 寺田寅彦 『マーカス・ショーとレビュー式教育』 青空文庫
この瓦斯は酸素の変形したもので非常に酸化力が強く、黴菌類はこれに遇えば皆死んでしまう。
— 寺田寅彦 『話の種』 青空文庫
黴菌がだんだん悪ずれがして来て黴菌の「ヒト」が悪くなるせいでもなさそうである。
— 寺田寅彦 『変った話』 青空文庫
変だと思ってよく調べてみると、星の世界には悪い黴菌がいないために黴菌に対する抗毒素を持合わせない彼の星の住民は、地球上の数々の黴菌に会って一たまりもなく全滅した。
— 寺田寅彦 『変った話』 青空文庫
この表面にはあらゆる黴菌が附着していようと思う。
— 寺田寅彦 『蚊帳の研究』 青空文庫
されば郷屋敷田畝は市民のために天工の公園なれども、隱然(應)が支配する所となりて、猶餅に黴菌あるごとく、薔薇に刺あるごとく、渠等が居を恣にする間は、一|人も此惜むべき共樂の園に赴く者なし。
— 泉鏡太郎 『蛇くひ』 青空文庫