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西空

にしぞら
名詞
1
標準
文例 · 用例
西空の根津一帯、藍染川の上あたり、一筋の藍を引いた。
泉鏡花 薄紅梅 青空文庫
西空は一面に都会の夜街の華々しいものが踊りつ、打ち合いつ、砕けつする光の反射面のようである。
岡本かの子 渾沌未分 青空文庫
その同じ江海でも、もし日が既に西の海に没した後、西空の夕焼けが次第に色を失い、辺りがほの暗くなり、将に夜になろうとする時になると、刻一刻と加わりまさる薄暗い雲の幕の幾重に、大空の光は包み蔽われて、陰鬱の気は一波一波と流れ来る。
幸田露伴 努力論(現代訳) 青空文庫
午後の二時三時頃には、日は丁度室内の中央に坐つてゐる人間の身體にまともにあたり、ゆるやかな弧をゑがきながら次第に靜かに移つて、西空が赤く燒くる頃ほひに漸く弱々しい光りを他の側の壁に投げかけるのであつた。
島木健作 青空文庫
午後の二時三時ごろには、日はちょうど室内の中央に坐っている人間の身体にまともにあたり、ゆるやかな弧をえがきながら次第に静かに移って、西空が赤く焼くるころおいにようやく弱々しい光りを他の側の壁に投げかけるのであった。
島木健作 青空文庫
それは層々※々と盛上って、明るい西空(既に大分夕方に近くなっていた)に高く向い合い、東の方数|哩の谿から野にかけて蜿蜒と拡がる其の影の巨きさ!
中島敦 光と風と夢 青空文庫
のみならず、遠く西空の観覧車に、お筆が狂わんばかりの凝視を放っていると云う事は、また怖れとも嗤いともつかぬ、異様なものだった。
小栗虫太郎 絶景万国博覧会 青空文庫
が、またそうかと云ってその得体の知れぬ魔力と云うのが、却って西空の観覧車にあるのではないかと思われもするので……、ああでもない斯うでもないと、とつおいつ捻り回しているうちには、遠景の観覧車も眼前にある異形なお筆も、結局一色の雑然とした混淆の中に、溶け込んでしまうのだった。
小栗虫太郎 絶景万国博覧会 青空文庫