掻き乱す
かきみだす
動詞
標準
文例 · 用例
吉本はそれを見届けておいただけで、彼らの平和と幸福とを掻き乱すようなことはしなかったが、鉄管工場のほうを追い出されてみると、やはり秋川と永峯のところよりほかには訪ねていくところもなかった。
— 佐左木俊郎 『街頭の偽映鏡』 青空文庫
春は――平打の銀簪を畳の上に落したまま、貝合せの貝の裏が朱と金と藍に光る傍に、ころりんと掻き鳴らし、またころりんと掻き乱す。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
郷倉千靱氏の場合は、自然に反逆する、自然を物をもつて掻き乱すといふ積極性が終始する。
— 美術論・画論 『小熊秀雄全集−19−』 青空文庫
彼女は、母に対して、不快を感じてゐるのでなく、青年に対して、不快を感じてゐるのでなく、たゞ母と青年とが、馴々しく話しあつてゐることが、不思議に、彼女の心に苦い滓を掻き乱すのであつた。
— 菊池寛 『真珠夫人』 青空文庫
掻き乱す者一 二夜、夜更しが続いたので、朝は深い眠りで、明るくなったのにも気がつかず、新子は、十一時半頃、やっと眼を覚した。
— 菊池寛 『貞操問答』 青空文庫
彼女は、母に対して、不快を感じているのでなく、青年に対して、不快を感じているのでなく、たゞ母と青年とが、馴々しく話しあっていることが、不思議に、彼女の心に苦い滓を掻き乱すのであった。
— 菊池寛 『真珠夫人』 青空文庫
――他人の整理物を掻き乱すことの、留守居中の持主に対するあの痛々しい悲しみは、左様に余の如き不道徳を行つたことのある少数の同志には、容易に理解して貰へるだらう。
— 牧野信一 『余話(秘められた箱)』 青空文庫
もしや私が、あなたさまのお心を掻き乱すやうな言葉や、いやな瞳をお向けしましたのではございませんでせうかしら、お忘れになつて下さいませ。
— 一名――煙草蒐集家の奇禍 『火の点いた煙草』 青空文庫