黒駒
くろこま
名詞
標準
文例 · 用例
門の柳の翠から、黒駒の背へ雫が流れて、はや雲切がして、その柳の梢などは薄雲の底に蒼空が動いています。
— 泉鏡花 『薬草取』 青空文庫
そうだ、爺っつあん、次郎長の児分で一番強いのは森の石松だ」S=月明の天竜河原に どっとあがる鯨波の声は 清水一家八十余人と甲州黒駒の勝蔵一家百五十人が入り乱れての喧嘩。
— 山中貞雄 『森の石松』 青空文庫
やがて源氏の武者一騎、萌葱おどしの鎧きて、金覆輪の鞍置いたる黒駒にまたがり、浪打ちぎわより乗入ったり。
— 岡本綺堂 『平家蟹』 青空文庫
惟うに小児が飼犬を単に白とか赤とか呼ぶごとく、その頃まで天斑駒、甲斐の黒駒など生処と毛色もて呼ぶに過ぎなかったろう。
— 馬に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
しかるにその後、『異制庭訓往来』和漢の名馬を列ねた中に、本朝|厩戸王子甲斐黒駒、太宰大弐弘継土竜とあるを見出した。
— 馬に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
白糸縅に胡麻幹小札、この大鎧を一着し、真紅の鉢巻をムズと締め、黄母衣に木地の鞍置かせ、浅黄手綱の黒駒に乗ったは、濃州|方県の城の主、明石播磨之介|貞朝であったが、「談天門の攻め口は、わが手にて候うぞ」 と大音に呼ばわり、カラカラと笑って通りすぎた。
— 国枝史郎 『あさひの鎧』 青空文庫
そうしてその中で燃えている火は、血を含んででもいるように見え、そこから吹き出している墨のような煙りは、黒駒の靡かせる鬣のようであった。
— 国枝史郎 『あさひの鎧』 青空文庫
野川の畔に寝そべった二匹の黒駒はその中にあって、病にかかってでもいるのであろうか、衰え果てて動こうともしない。
— 国枝史郎 『蔦葛木曽棧』 青空文庫