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残惜

ざんおし
名詞
1
標準
文例 · 用例
」 何か残惜く、かごとがましく、不平そうに謂ったのが、なぜ見せなかった、と詰るように聞えたので、早瀬は石を突流すごとく、「縁が無かったんだろうよ。
泉鏡花 婦系図 青空文庫
車掌台からどやどやと客が引込む、直ぐ後へ――見張員に事情を通じて、事件を引渡したと思われる――車掌が勢なく戻って、がちゃりと提革鞄を一つ揺って、チチンと遣ったが、まだ残惜そうに大路に半身を乗出して人だかりの混々揉むのを、通り過ぎ状に見て進む。
泉鏡花 婦系図 青空文庫
」 と姉夫人が立ちかけた膝をまた据えて、何となく残惜そうな風が見えると、「早くいらっしゃらなくっちゃ……私は可いけれども、姉さん、貴女は兄さん(医学士)がやかましいんだもの、面倒よ。
泉鏡花 婦系図 青空文庫
渚は浪の雪を敷いて、砂に結び、巌に消える、その都度音も聞えそう、但残惜いまでぴたりと留んだは、きりはたり機の音。
泉鏡花 春昼 青空文庫
二足が三足、五足が十足になって段々深く入るほど――此処まで来たのに見ないで帰るも残惜い気もする上に、何んだか、旧へ帰るより、前へ出る方が路も明いかと思われて、些と急足になると、路も大分上りになって、ぐいと伸上るように、思い切って真暗な中を、草を※って、身を退いて高い処へ。
泉鏡花 春昼 青空文庫
」「妙に残惜いようだよ。
泉鏡花 南地心中 青空文庫
」 高野聖は此のことについて、敢て別に註して教を与へはしなかつたが、翌朝袂を分つて、雪中山越にかゝるのを、名残惜しく見送ると、ちら/\と雪の降るなかを次第に高く坂道を上る聖の姿、恰も雲に駕して行くやうに見えたのである。
泉鏡太郎 高野聖 青空文庫
今は、不潔で臭い病室や、時々夜半にひゞいて来るどっかの銃声や、叫喚が面白く名残惜しいものに思われてきた。
黒島傳治 氷河 青空文庫