輻湊
ふくそう
名詞
標準
文例 · 用例
小涌谷辺は桜が満開で遊山の自動車が輻湊して交通困難であった。
— 寺田寅彦 『箱根熱海バス紀行』 青空文庫
最近は青森港も船舶輻湊して、この桟橋も船で埋つて景色どころではない。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
浴客はまだ何処にも輻湊していなかったし、途々見える貸別荘の門なども大方は閉っていて、松が六月の陽炎に蒼々と繁り、道ぞいの流れの向うに裾をひいている山には濃い青嵐が煙ってみえた。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫
ただ漠然と、一つが頭の上に落ちて来れば、すべてその他が後を追って門前に輻湊するぐらいに思っている。
— 夏目漱石 『彼岸過迄』 青空文庫
此駅海に浜して商賈富有諸州の船舸来て輻湊する地。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
大坂より已来尾の道大輻湊の地なれども赤馬関は勝ること万々ならん。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
それはとにかく、榛軒の世となつた後も、医を学ぶものが伊沢分家の門に輻湊したことは、当時の俗謡に徴して知ることが出来る。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
殊に患者の輻湊してゐる処|何ぞへ往つたのだから、変つた物を見て神経を刺戟せられたかも知れない。
— 森鴎外 『魔睡』 青空文庫